天宝伏妖録
(てんぽうふくようろく)
用語・補足説明

<1‐9> 仮初めの勝利
◆「受験生は?」
鴻俊の調合した『意識を失わせて、真の姿を明らかにさせる』薬で、受験者は次々狐の姿となって部屋に横たわっていました。
そして駆魔司全員が手がかりを見つけようと、そこにいる人々を注意深く観察していましたが、どうやら黒幕はここにはいないようです。
高力施「李景瓏 これはお前の妖術だな」
李景瓏は立ち止まり、高力施を一瞥すると彼の方へ歩み寄りました。高力施たちは狐に変えられてしまうのではないかと恐れて後ずさりしました。
◆「陛下のおなり」
李景瓏からの依頼を受けた封長卿は、その朝杖をつきながら華清宮(離宮)を目指して驪山を登り、「天宝朝の運命と密接に関係している、非常に緊急な報告があります」と陛下の元を訪れたのでした。
封長卿はこれまで身体に障害を抱えながらも並外れた才能を発揮し、数千の兵を率いる指揮官として、威厳と権威を持っていました。
封長卿「もしこれが嘘だったのであれば、私の首を刎ねていただいても構いません。」
李隆基「天下においていかなる状況であっても、あなたは真実を語る唯一の人物だ。」
◆「鴻俊、頼みがある」
李隆基は、書棚の後ろで鴻俊と妖狐杜韓青との会話の一部始終を目撃し、耳にしたのでした。
李隆基「焼け」
妖狐による受験者すり替えが明るみに出れば、天宝の威信と皇帝の尊厳は完全に失墜し、科挙は嘲笑の的となるだろう。このようなことが許されるはずがない。
◆「祆教(けんきょう)の火炎術を使った者だな」
鴻俊「阿泰はペルシアの王子?」
阿泰 本名タイグラ・イースアイ
祆教とは『ゾロアスター教』のことで、古代ペルシアササン朝で国教とされていましたが、アラブ・イスラム勢力に征服され、国教としての地位を失います。王族イースアイは天宝朝(唐王朝)の支援を受けて王国の再建を試みましたが、結局アラブ人に奪われてしまいます。滅亡したササン朝の王族は天宝(唐)へ亡命し、阿泰は中国の地で生まれています。
阿泰は王国を復興し、宗教を復活させる聖なる王子と見なされていました。
莫日根「アッバース朝(イスラム王朝)は強力で勇敢な軍隊を擁している。長期間にわたる激しい戦いは賢明ではない。」
阿泰はうなずき、「実は、わかってるんだ。父が亡くなる前に、国の復興は諦めるように言われた。」
鴻俊「でも、君はまだそれを成し遂げたいと思っているんだろう?」
鴻俊は彼の気持ちが理解できました。重明と青雄も彼と同じ期待を抱いているのです。
阿泰「いつか天宝の皇帝が兵を貸してくださり、祖国を復興できる日が来ることを願っているんだ。」
現皇帝がアッバース朝を怒らせる気があるかどうかはさておき、たとえ軍隊を派遣したとしても、勝利の見込みが一体どれだけあるのか、皆にはよくわかっていました。
◆「明日 遊びに出よう」
李景瓏は事前に「この事件が終わったら、ゆっくり休んで楽しい時間を過ごせる所へ行こう。どこがいい?」と皆に行きたいところを聞いていました。

◆「鴻俊 郊外に行くぞ」
鴻俊は李景瓏が言った言葉を思い出し、あの妖狐(杜韓青)が本当のことを言っていたのか、本当に誰も殺していないのか疑問に思います。
鴻俊「でも、やっぱり騙されたような気がするんだ。ほら、杜韓青・・・」
李景瓏は手をあげ、「人生において少し混乱するのも悪いことではない。あまり深刻に考えすぎるな。ページをめくって忘れてしまえばいい。」
◆ 「天魔の輪廻(りんね)は 駆魔師がいかに強くとも決して止めらぬ」
(青雄「4年後の天魔復活に備えるためだな」)
天魔が1,000年周期で復活するという伝説がありました。天地の脈に宿る浄化しがたい邪気(殺意や怨念)や苦痛といったものが人間界に蓄積されることで『天魔』となるのです。しかし、前回の復活から900年しか経っていないこの時、何故か天魔復活が目前となっていたのです。
(袁昆「人間の計画など天の摂理には到底及ばない。」)
男「皇帝は警戒し始めている。今は動かぬが吉だ。」
男「ちょっとした焦りのせいで君の壮大な計画を台無しにしたとしても、私を責めないでくれ。」
女「知ってたの?あなたは彼らの計画をずっと知っていたのに、関わらないようにするために、私の子供たちを見捨てたのね!そうでなければ、なぜ試験会場に行かなかったの?!この日のことは忘れないわよ!」
◆"倚詩欄”
李景瓏「別のことがしたければ阿泰の所へ行け」
李景瓏は、頻繁に倚詩欄に出入りしていた阿泰と裘永思が『子ども』に悪い手本を示さないように、衝立で隔てるように命じていました。
李景瓏「よく考えろ。桜桃饆饠(おうとうひちら)がすぐ来る。」
李景瓏は侍従に隣の店まで有名な菓子を買いに行かせていました。
